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流れ星、ひとつ [moto]


空気の匂いが変わり、金木犀の香りが混じるようになったここ数日。
部屋を出てその香りを感じ、空が高い日にはひとつのできごとを思い出します。
そして先日、いつものごとく本屋さんに立ち寄ったとき見つけました。

ノリック栄光の軌跡―グランプリライダー阿部典史メモリアル写真集 (SAN-EI MOOK)

ノリック栄光の軌跡―グランプリライダー阿部典史メモリアル写真集 (SAN-EI MOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 三栄書房
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 大型本

 


ワタシ、彼がNSR500を駆って全日本を走っていた頃の彼のサインを持っています。
直接もらったわけではないのですが、母の職場の関係から一枚まわってきたものです。
どうもワタシがオートバイのレースが好きだということを誰かが聞いていて、それなら
と一枚もらっておいてくれたとのことです。
そのとき彼は全日本500クラスのチャンピオンを取っていましたし、ワタシは彼が
デビュー戦でスタートを失敗しつつも2位に入賞した快挙や、次の菅生の初優勝など
鮮烈なエピソードを耳にしておりました。
当時はわりと民放のドキュメンタリーでもライダーは取り上げられる機会があり、
そのときの彼を追った番組なども放送されたりしていました。

この写真集で目にする彼の姿はどれもどこかで見たようなものがあります。
そのことを思うに、ワタシがどれだけ彼をずっと見続けてきていたのか。
ワタシはロバーツもスペンサーも知りません。
平さんが日本のロードレースにどんな影響を及ぼしたのかもよくわかりません。
ワタシにとってのライダーはドゥーハンであり、シュワンツであり、レイニーであります。
そして原田さんであり、大ちゃんであり、ノリックであるのです。

彼のお世辞にもスマートとはいえないライディングフォームはアグレッシブな
シュワンツという天才のそれと重なります。
彼がGPで残した戦績というものは世界的に見ればずば抜けたものではないのかも知れません。
そして彼がGPという世界に確かにいたこと。
パドックというコミュニティで生活していたこと。
テストの合間のドゥーハン、ロバーツとの3ショットや、オフシーズンのバレンティーノとの
インタビューの合間の2ショット。

大ちゃんのときにも思ったこと。
いるべきところにいるべき人がいない。
彼らと親しかった人しか知らない普通の若者としてのコトバ。
メディアに発せられるよそ向きのものではない人間、阿部典史としてのコトバ。
あなたがいないことでこれまでと驚くほど何も変わらないワタシの生活。
そしてあなたがいたら見えたかもしれない、もう永遠に失われてしまった未来。

今年は筑波だけだったけど来年はもっと行くね。
そして日本GPではあなたがいた頃のような日本人が世界と互角に戦えていて、
どの日本人選手を応援するか迷ってしまうようなあの幸せな時間に少しでも
近くなっていればいいな。

ノリック、大好きだよ。これまでも。この先も。

2008.10.9:和-nagomi 拝


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のりドム&みさドム

こんばんわ、のりドムです。

気がつけばキンモクセイの香りが漂う季節になってしまいましたね。
自分もこの写真集買いました。
あれから一年、ノリック、奥野さん、沼田さんに誓ったことをしっかりできているのか自問自答することがあります。
でも間違い無くロードレースを楽しんでいます。
この楽しさをどうにかいろんな人に伝えてノリックの意思に及ばずながら応えたいと思っています。

正直なところあの頃と違って世界ですぐに対等に走れるライダーは皆無だと思います。
しかし、将来的には世界で戦えるライダーはたくさんいます。
ぜひ753さんも来年はそういったライダー達に注目してあげてください。

あ、のりドムは発見しないでください。
ブログを知ってる人に会うのってちょっと恥ずかしいです(^^;
by のりドム&みさドム (2008-10-10 22:48) 

テトラ

あれからもう1年が経ってしまったんですね。
毎日、事故に遭わず家に戻れる事を有難いと感じてます。

今年は久々にレースを観戦出来て、
あらためてサーキットで戦うライダー達に畏敬の思いを深くしたのですが
やはりその場所にはノリックも居て欲しかった…。

来年もまた全日本のレース、見に行きます。
by テトラ (2008-10-10 23:48) 

和-nagomi

周回遅れ寸前コメ返しで失礼いたします。
間抜けたコメントになるでしょうけどご容赦下さいませ m(_ _)m

◇のりドムさん
ロードレースはおろか、二輪販売台数も減少の一途をたどっているわが国のオートバイ事情ですが、それでもワタシはオートバイが好きです。
自分で乗るのもレースを観るのも磨くのだって好きです。
最高峰のMoto GPにおいて、ドゥカティが数十年ぶりに日本製以外のオートバイとして戴冠したときに、日本の宝というべきものの輝きに陰りがさしたと感じたのは気のせいではなかったのかも知れません。
それは一エンジニアとしても寂しいことでした。
そして百花繚乱の日本人ライダーが参戦していたあの幸せな時期をともに生きた経験は今では望むべく無いものなのかも知れません。

それでもワタシはずっとオートバイを、ライダーを好きでいます。
せっかく彼と同じ時間を生きてきたのですから。


◇テトラさん
学生の時分には通学で毎日、それこそ雨も雪の日も乗っていたのですが、社会人になって週末にすらエンジンに火を入れることがなかなかできなくなってしまいました。
それだけに乗る前にはいつも最悪のことが頭に浮かぶことも珍しくはありません。そしてその日を無事に終えて帰れることにいつも有難いと感じます。

オートバイは楽しい乗り物です。
なんで楽しいかって倒れるからだと思うのです。
倒れない乗り物に倒れないように乗るよりも、倒れる乗り物に倒れないように乗るからこその楽しさって絶対あると思うんです。
それをただ危険とだけ言うのではなくて、危険だからこそ危険に敏感にいる。
そんな姿勢をオートバイに乗る限りは持ち続けたいと思います。


by 和-nagomi (2009-08-18 23:24) 

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